相続土地国庫帰属制度とは
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2024/12.5
相続土地国庫帰属制度とは相続した土地を国に引き取ってもらう制度です。
相続によって所有するつもりのない土地を所有することになってしまった人、多いですね。
「要らないんだけど、この土地だけ放棄できる?」
相続相談でよく相談されます。相続土地国庫帰属制度を活用することにより、費用はかかりますが、それが可能になることがあります。
ではどのような土地だったら放棄(国庫に帰属)することができるのでしょうか。
〇条件
・相続又は相続人に対する遺贈(以下「相続等」といいます。)によって土地の所有権又は共有持分を取得した者です。法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることの承認の申請をすることができます。共有の場合は共有者全員で申請しないといけませんが、共有者全員が相続又は遺贈によりその土地を取得している必要はありません。申請後、土地を調査した結果、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。そして、一定の負担金を国に納付すると、土地の所有権が国庫に帰属します。
逆に言えば次の項目に当てはまるものは、国は国庫への帰属の申請を拒否することができます。
〇引き取ることができない土地
・建物がある土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地
・他人の利用が予定されている土地(通路など)
・土壌汚染されている土地
・境界が明らかでない土地・所有者の存否や範囲について争いがある土地
※これらに該当すると申請の段階で却下されます。
〇承認を受けることができない土地
・一定の勾配・高さの崖があり管理に過分な費用・労力がかかる土地
・土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
・土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
・その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
※審査の段階で該当すると判断された場合に不承認になります。
〇申請ができる人
・相続等によって土地を取得した方
相続等以外の原因(売買や交換など)により自ら土地を取得した人や法人は、基本的に本制度を利用することはできません。売買や交換はご自身の意思により取得したため後になって「やっぱり要らないから国に引き取ってもらおう。」など、都合のいいことはできません。法人も、相続によって土地を取得するといったことはないので、基本的にはこの制度を使うことはできません。
・相続等により、土地の共有持分を取得した共有者
共有者の全員が共同して申請を行うことによって、本制度を利用することができます。例えば、売買により共有持分を取得した共有者がいる場合でも、相続等により共有持分を取得した共有者が共有者の中にいれば、共有者の全員が共同して申請を行うことで、この制度を利用することができます。
・施行前に相続した土地も対象となります
本制度が開始された令和5年4月27日より前に相続等によって取得した土地についても、本制度の対象となります。
〇申請先
本制度の対象となる土地を管轄する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)となります。法務局・地方法務局の支局・出張所では、承認申請の受付はできません。香川県だと高松の法務局になります。丸亀・観音寺支局、寒川出張所では申請できません。
〇審査手数料
手数料は土地一筆につき14,000円です。申請時に、申請書に審査手数料額に相当する額の収入印紙を貼って納付します。これは仮に却下、不承認となっても手数料は返還されません。
〇添付書類
【全ての申請者に必要な書類】(記載例は法務局のHPにあります)
1.土地の位置及び範囲を明らかにする図面
2.該当する土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
3.土地の形状を明らかにする写真
4.申請者の市区町村長作成の印鑑証明書
【遺贈によって土地を取得した相続人に必要な書類】
5.相続人が遺贈を受けたことを証する書面として
・遺言書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・相続人全員の印鑑証明書
【承認申請者と所有権登記名義人が異なる場合に必要な書類】
6.土地の所有権登記名義人から相続があったことを証する書面として
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・遺産分割協議書
〇負担金
承認された場合、国有地の種類ごとに(宅地や森林など)その管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定した額の負担金を納付しなければなりません。
基準となる土地の区分
「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に区分され、この区分に応じた負担金となります。この区分は提出された書面や実地調査などに基づいてどの区分に当たるか判断されます。
基準となる面積
・登記簿上の地積が基準となります。
算出方法
・宅地
原則・・・20万円(面積にかかわらず)
例外・・・都市計画法の市街化区域又は用途区域が指定されている地区
例:100㎡で411,000円、200㎡で793,000円となります。
・農用地
原則・・・20万円(面積にかかわらず)
例外・・・①都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域内の農地
②農業振興地域の整備に関する法律の農用地区域内の農地
③土地改良事業等の施行区域内の農地
例:250㎡で510,000円、1000㎡で1,128,000円
・森林
例:750㎡で254,000円、3000㎡で299,000円
・その他(雑種地、原野等)
20万円(面積にかかわらず)
〇負担金の納付方法
国庫帰属の申請が承認されると、申請者に対して負担金の通知が送付されるとともに、負担金の納付に関する納入告知書が送付されます。
支払い方法
・負担金額を30日以内に、納入告知書と共に銀行で納付します。
負担金が期限内に納付されない場合、国庫帰属の承認が失効しますので、
ご注意ください。その場合土地の所有権は国に移転していません。(支払いがあったときに所有権が申請者から国に移転します)
期限内に納めることができなかった場合、承認が失効してしまいます。失効してしまうと、最初から申請をやり直すことになってしまいます。
〇負担金額算定の特例
隣接する2筆以上の土地が同一の土地区分である場合一つの土地とみなして負担金の額を算定することを申し出ることができます(宅地+宅地、農地+農地)
この特例の適用を受けた場合、隣接する2筆以上の土地を一筆分の負担金で国庫に帰属させることが可能となります。
例:宅地A100㎡+宅地B200㎡
別々に申請すると、548,000円+793,000円=1,341,000円ですが、申出をすると1,018,000円となります。
〇申請代理について
この制度の申請は代理人として司法書士がすることができませんが、申請書類の作成は司法書士が行うことができます。費用は10万円~となります。これは書類作成の過程で現地調査が必要であり、土地がどこにあるのか(平野なのか山中なのか)によって変わってきますし、調査の結果承認される要件を満たしていないことが分かった場合のそこまでの調査費用などが掛かることになるので、一概に幾らとはっきりとした金額を出すことができません。打ち合わせの時に地図や航空写真で現地を確認しながら概算の費用を出すことになります。
イラストリンク
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