相続放棄とは 概要と手続きの流れ

ピックアップコラム

2024/11.21

相続放棄とは

相続人が被相続人(亡くなった人)の財産を相続しないことを選択する手続きのことです。相続放棄を行うと、被相続人の財産だけでなく、借金やその他の債務も相続しないことになります。相続放棄は財産の一部だけ放棄して、他の部分だけ相続することはできません。すべてを放棄するか、すべてを相続するかのどちらかを選択することになります。

このようなケースでは相続放棄を選択することがあります。

・借金の方が多い

一番よく聞くケースだと思われます。資産よりも借金の方が多く返済を免れたい場合に相続放棄をすると、支払いをする必要は無くなります。

・遺産のトラブルを避けたい

相続人間で仲が悪かったり、疎遠で遺産分割にかかわりたくない場合も相続放棄をすることがあります。

そのほか、特定の相続人に遺産を集中させたいときに使われることもあります。

意外かもしれませんが、借金が多いことを理由に相続放棄をすることは少なく、多くは関わりたくないことを理由にしているのが現状です。

 

相続放棄のメリットとデメリット

メリット

・借金などの負債を引き継がなくて済む

・相続トラブルを回避できる

・遺産の管理や債務の処理から解放される

 

デメリット

・プラスの財産も受け取れなくなる

・手続きに時間と費用がかかることがある

・次順位の相続人に迷惑がかかる場合がある

 

相続放棄の注意点

・相続放棄後に、次順位の相続人(例:兄弟姉妹など)に相続権が移ることがあります。そのことにより、次順位の相続人に債務が押し付けられる可能性があります。自順位の相続人がいるときは、相続放棄によって相続権が移ることを予め伝えておくことで無用なトラブルを避けることができるかもしれません。

・相続放棄を検討中(熟慮期間中)は、相続財産を勝手に処分したり、利用したりすると、相続を承認したとみなされる場合があります。ただし、財産価値が無いもの(生前使用していたタオルや肌着など)は処分しても相続を承認したとみなされないようです。

 

間違えた使われ方をしている相続放棄について

たまに聞くのですが、不動産の相続登記手続きのシーンで、「この土地は私は相続放棄したから。」とおっしゃる方がいます。家庭裁判所で手続きをしたか確認すると、それはしていないと。これは法的な相続放棄には当たらないので仮に債務があった場合にはその債務は引き継ぐことになります。また、遺産分割協議書には参加する必要があり、協議をしたうえで自身の取り分を0と主張することになります。注意しましょう。

 

相続放棄の手続きについて

申述期間

相続放棄は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。

正当な理由がある場合、例えば、財産の調査をしてもなお、3ヵ月以内に相続を承認するか放棄するかの判断材料が得られない場合は、家庭裁判所に対し3ヵ月の期間の伸長の申し立てをすることで、期間を伸ばすことができる制度もあります。

 

申請先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

 

申述に必要な費用

・収入印紙800円(放棄する人、1人につき)

・郵便切手 裁判所からの通知がくるので、それの切手を先に納めます。詳細は家庭裁判所に確認します。

 

提出する書類

相続放棄の申し立てには、以下の書類が必要です

・相続放棄申述書

家庭裁判所のウェブサイトや窓口で入手可能です。

必要事項(被相続人の情報、放棄する理由など)を記入します。記載例も家庭裁判所のウェブサイトにあります。

・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

・被相続人の住民票除票又は戸籍附票

・申述人(相続放棄をする人)の現在の戸籍謄本(3ヵ月以内に発行されたもの)

・財産目録や負債に関する資料(必要に応じて提出)

●相続のケースによって追加して必要な書類

【申述人が第1順位相続人(被相続人の子の代襲者(孫・ひ孫等))の場合】

・被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本

申述人が第2順位相続人(被相続人の父母・祖父母等(直系尊属))の場合

・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

被相続人の子及びその代襲者で死亡している方がいる場合

・その子及びその代襲者の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

被相続人の直系尊属(申述人より下の代の直系尊属に限る(例:申述人が祖

母の場合、父母))に死亡している方がいる場合

・その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本

申述人が第3順位相続人(被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい))の場合

・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

被相続人の子及びその代襲者で死亡している方がいる場合

・その子及びその代襲者の出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本

・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本

申述人が代襲相続人(おいめい)の場合

・被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍謄本

 

戸籍謄本で申立人が被相続人の相続人かどうかを確認する必要があります。兄弟姉妹が相続人の場合、用意する戸籍の量が増えるのは、第1順位の子がおらず、第2順位の父母も死亡していることを戸籍から確認しないといけないからです。

 

申し立て後、家庭裁判所から通知が届きます。

主に放棄の理由や経緯について確認されます。申立書に書いたことを述べてください。本当に申立てに関わっているのかの確認です。

 

家庭裁判所の決定を待ちます

家庭裁判所が内容を確認し、問題がなければ1~2週間ほどで相続放棄が認められます。

申立人の住所に相続放棄申述受理通知書が送られてきます。

 

この相続放棄申述受理通知書は他の相続人が相続登記をするときに必要になってきます。「自分は相続放棄をしたから残された相続人の事はもう関係ない」と思う気持ちも分かりますが、残された相続人のためにも、もうひと協力してあげてください。

また、これは相続放棄の申述が受理された通知書であり、相続放棄の証明書ではありません。

証明書が必要な時には別途、相続放棄申述受理証明書を家庭裁判所で発行してもらわないといけません。

 

相続放棄申述受理証明書について

目的

・相続放棄が受理されたことを第三者に証明するため

・金融機関、債権者、不動産登記など(前述のとおり、不動産登記は通知書で足りることになりました。放棄者が通知書を無くした、又は通知書を渡すことに非協力的な時に相続人が証明書を取得することになります。)

 

記載内容

事件番号 令和〇年(家)第○○○○号

申述人の氏名

被相続人の氏名

被相続人の本籍

相続放棄が受理された日付

家庭裁判所の認定印

 

申請方法

申請先

・被相続人の最後の住所地を管轄区域とする家庭裁判所

必要書類

・申請書

相続放棄申述受理証明申請書(利害関係人用)」に必要事項を記入し,申請者の印(認め印可,スタンプ印不可)を押印します。 ※ 事件番号・受理年月日が不明の場合は,証明書の申請の前に,「相続放棄・限定承認の申 述の有無についての照会」を行う必要があります。

・身分証明書(運転免許証、健康保険証等)のコピー

・利害関係疎明資料(コピー可)

被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本

申請者の戸籍謄本

債権者であることを証する資料(契約書等)

※相続関係により異なりますので,事前に申請先の裁判所に確認をおすすめします。

 

手続き費用

・収入印紙150円が必要です。

郵送申請の場合は、返信用切手代が追加でかかります。

 

 

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