相続放棄の例外
お知らせ
2025/11.3
相続放棄は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
しかし,例外的に3か月を過ぎても相続放棄が認められる場合があります。
基本
相続人は相続財産の一部または全部を処分した場合は単純承認したものとみなされ,以後相続放棄をすることはできません。
単純承認の例として
・相続財産の使い込み
・預貯金の払戻し,解約
・遺産である車の名義変更
・遺産である建物の改築,リフォーム
・遺産分割協議
などがあります。
例外
次のような事情がある場合は遺産分割協議をした後も相続放棄をすることができます。

前提事例
父:死亡(被相続人)
母,長男:父と同居
長女:結婚し,すでに家を出ている
遺産分割の結果,家を継いだ長男が遺産を全て取得した。
~遺産分割から数年後
事業を経営していた兄が経営不振になり借金が返せなくなった。
事業を始めた当時,父が兄の事業の連帯保証人になっていた。
長女は銀行から請求を受けたことで父の連帯保証人としての地位を相続していたことを知り,同時に自身が保証債務を負うことになっていることを知った。
遺産分割の当時,父が連帯保証人になっていたことを母と長女は知らなかった。
このような場合に
一部の相続人に遺産の全部を相続させる旨の遺産分割協議がされたあと,予期に反して多額の相続債務があったとして,他の相続人からなされた相続放棄の申述に対し,分割協議が錯誤により無効となり,その結果,単純承認の効果も発生しないとした判例があります。また,長女は何も相続しない趣旨の遺産分割協議をしているので,相続財産を処分したいえないという理由で,債務の存在を知った時(銀行から知らせを受けたとき,請求されたとき)をもって,自己のために相続開始を知ったとして,相続放棄の申述をすることも可能です。
似た事例で,被相続人の生前から相続財産一切を相続することに周囲が合意していた場合は,被相続人の死亡後も当然にその合意のとおりに長男に権利が移転するものと考え,自らが取得することとなる相続財産は存在しないものと考えていたことが窺えるので,被相続人の積極財産及び消極財産について相続の開始があったことを知らなかったものと認めて,訴状の送達受けて初めて債務の存在を知ったとして,この時をもって相続開始を知ったと解し,なお相続放棄が可能である。といった判例もあります。
前半は遺産分割協議をした後に相続放棄をする場合,後半は遺産分割協議はしていないけど,財産は一部の相続人が全て相続したときの事例です。
紹介した事例はかなり特殊です。相続放棄の期限は基本3か月です。1日でも過ぎてしまうと認められなくなるので,余裕をもって行動しましょう。
イラストはこちらのHPからいただきました。
https://souzoku-sozai.com/” target=”_blank
ありがとうございました。