相続財産清算人について
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2025/1.20
相続財産清算人とは
死亡した人(被相続人)に相続人がいない、若しくは相続人全員が相続放棄をして相続人がいなくなった場合に相続人に代わって被相続人の財産の管理をしたり、債権者や受遺者に対して弁済し、残った財産を国庫に帰属(国に返す)させたりして被相続人の財産を清算する人の事です。
相続人がいない場合とは「配偶者も子もおらず」、「直系尊属(親や祖父母)もすでに亡くなっており」、「兄弟もいない」場合に民法が定める法定相続人がいない状態となります。
相続財産清算人を申し立てることができる人は次のとおりですが、相続財産清算人に対し相続財産から数万円~の予納金を支払う必要があるため、権利実現のための費用対効果を十分に検討したうえで申し立てる必要があります。
相続財産清算人を申し立てることができる人
⑴利害関係人
相続財産を保全することにつき法律上の利害関係がある人
⑵特別縁故者
①被相続人と生計を同じくしていた者
a内縁の配偶者
b事実上の養子
c伯叔父母
d継親子
e亡長男の妻
f未認知の非嫡出子
g亡継子の子 などがこれに当たった例があります。
②被相続人の療養看護に努めた者
a心臓病の看護に尽力した5親等の血族関係にある者
b対価としての報酬以上に看護にに尽力した看護師
c民生委員、家事援助者 などがこれに当たった例がります。
③その他被相続人と特別な恵縁故があった者
a生前に生活上の支援や財産管理を行った者
b被相続人の菩提寺である宗教法人
c被相続人が生前住職を務めていた宗教法人
d被相続人が死亡するまで生活していた法人格のない老人ホーム
e過去において縁故があった者
f死後に葬儀・供養を行った者 などが当たった例があります。ただし、特別縁故者は基本的には被相続人が生前から縁故が会ったことが必要なので、fのような場合は認められない見解もあるので注意です。
⑶相続債権者、受遺者
①被相続人の債務を回収したい債権者
a被相続人に対してお金を貸していた債権者が、相続財産から当該貸金を回収するため
bマンションの管理組合が、滞納された管理費や修繕積立金などの回収をするため
②葬儀費用を立て替え払いした者 なども該当します。
⑷相続債務者
⑸被相続人からの物件取得者
①被相続人から不動産を取得しが、いまだ対抗要件(登記など)を具備していない者
②時効により相続財産に対する権利を行使したい者 などがこれに当たります。
⑹相続財産上の担保権者
相続財産上の担保権者も申立てをすることができますが、被相続人から生前担保権の設定を受けているが登記をしていない者が登記をするために申立てをすることはできません。
⑺後見人等
被相続人に後見人が付いている状態で被相続人が死亡し、相続人がいることが明らかでないときは相続財産清算人が選任されない限り相続財産を引き継ぐことができないため、後見人も申立てをすることができます。
⑻事務管理者
相続財産を事実上管理している者は引渡義務を負うとともに、費用償還請求があるので、これらの権利義務の実現のため申立てをすることができます。
⑼検察官
相続財産を管理する者がいないまま放置することは望梨くないので、公益の代表として検察官も申立てをすることができます。
管轄
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
相続財産清算人の選任申立費用
・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
高松家庭裁判所の場合110円×10枚
180円×2枚
・官報公告料5075円
※官報公告料は申立て後に納付します。
申立て時に必要な書類
①被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・第1順位の相続人である配偶者と子がいない事の確認のため
②被相続人の父母の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・被相続人の兄弟がいないかの確認のため
③被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・代襲者に子がいないかの確認のため
④被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本
・第2順位の相続人である直系尊属が死亡しているかの確認のため
⑤被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
・第3順位の相続人である兄弟に子(甥姪)がいないことを確認するため。甥姪までは相続人になるため。
⑥代襲者としての甥姪で死亡しているものがある場合、その者の死亡の記載のある戸籍謄本
⑦被相続人の住民票除票又は戸籍附票(本籍の記載)
⑧申立人が財産管理人候補者を立てる場合、財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
・相続財産清算人の実在性の疎明資料として付けます。
⑨財産を証する資料(不動産の登記簿、預金通帳のコピー、残高証明書等)
⑩利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本、金銭消費貸借契約書等)
⑪申立書及び①~⑩の書類の写し(※清算人への交付用)
予納金
相続財産の管理費用や相続財産清算人の報酬に数十万円~100万円程度必要になります。相続財産の中から費用を捻出できる見込みがない場合は申立人が予納金として事前に支払う必要があります。
相続財産清算人候補者
申立人が財産管理人候補者を立てる運用をする家庭裁判所の場合、申立書に記載することができます。ただし、裁判所はこれに拘束されることはありませんので、希望の清算人にならない可能性もあります。候補者の住所、氏名、事務所所在地、事務所名、「弁護士」などの資格を記載します。申立てがされると、家庭裁判所は資料を基に調査をします。調査の結果、選任をすることが相当との判断がされると、選任の審判がされます。
相続財産清算人が選任されると、家庭裁判所は、「相続財産清算人を選任したこと及び相続人があるならば一定の期間内(6か月以上)にその権利を主張すべき旨」を公告します。相続財産清算人は、申立人と面談するなどして、申立人などが所持する亡くなった人の現金や預貯金通帳、鍵などを引き継ぎます。また、不動産がある場合は、名義を「亡A相続財産法人」に表示変更(氏名変更)登記をします。
相続債権者及び受遺者に対する請求申出の公告
相続財産清算人は、相続財産清算人の選任及び相続人の権利主張の公告があったことを確認後、速やかに「すべての相続債権者や受遺者に対し、一定期間内(2か月以上)にその請求の申出をすべき旨」を公告します。また、知れている債権者や受遺者に対して各別に申出の催告をします。
特別縁故者への相続財産の分与
相続財産の分与を求める特別縁故者は、家庭裁判所が行った相続財産清算人の選任及び相続人の権利主張の公告の期間満了後3ヵ月以内にしなければなりません。
管轄
相続が開始した地の家庭裁判所です。
特別縁故者に対する相続財産分与申立費用
・収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
高松家庭裁判所の場合110円×13枚
140円×1枚
500円×4枚
申立てに必要な書類
①申立人の住民票又は戸籍附票
②疎明資料
③申立書及び疎明資料の写し
家庭裁判所は申立てに対し、相当と認めるか否かを判断し、全部又は一部を付与する審判をすることができます。分与の審判がなされた場合、相続財産清算人は、特別縁故者に相続財産を分与します。
残余財産の国庫帰属
特別縁故者への相続財産の分与によって処分されなかった相続財産は、国庫に帰属します。そのため、相続財産清算人は、財産の内容に応じて、国庫に帰属させるための手続きをします。
残余財産がすべて国庫に帰属すると、管理すべき相続財産がなくなりますので、相続財産清算人の職務は終了となります。